見られないことで、少しずつ壊れていくもの

5/17/2025

「見えていない」というコミュニケーション

「もしかして、自分って今、透明人間になってる?」

そんな感覚に襲われたのは、前職でのことだった。
特定の人と関わる時、複数人の会話の中で、なぜか自分にだけ反応が返ってこない。目も合わないし、会話の中でこちらが投げかけた話に対しても相槌がない。

まるで「そこにいない」かのように扱われる瞬間が、何度かあった。

透明人間扱いされた経験

前職では、僕のことが“見えていない”ように感じた人が、少なくとも2人いた。

一人目は、年齢も近く、最初こそ壁を感じたものの、徐々にコミュニケーションをとることで関係性が改善されていった。
ランチのときに自分の話にもリアクションをくれるようになったし、飲み会の帰りに二人きりになった時も、ちゃんと会話ができるようになった。
もちろん、友達のように仲良くできるかはわからない。でも、少なくとも仕事をする上では、お互いをきちんと「メンバー」として認識できる関係にはなれたと思う。

しかし、もう一人のケースは違った。

二人目の「見えなさ」

もう一人は、一回り以上年齢が離れた上司だった。
この人はそもそもコミュニケーションがあまり得意ではないように見えたし、チーム内でも自分から雑談を仕掛けるタイプではなかった。

一人目の経験を活かして、僕なりに努力はした。
ランチに誘ったり、こちらから積極的に話しかけたりもした。けれど、関係性が改善されることはなかった。

朝会で僕とだけ目が合わない。
チームに新メンバーが入った際、上司が「このチームにはこんな人がいてね」と一人ひとり紹介していったが、なぜか僕の紹介だけは飛ばされた。
(その場で気を利かせた別のメンバーがフォローしてくれたけど、場の空気の中ではっきりと「自分だけ見えていない」ことを感じた。)

チームに僕が参画した初期から、なんとなく感じていたこの違和感。
「たまたまかな」「気のせいかな」と思い込もうとしたけれど、メンバーが増え、誰にでも明るく接する上司の態度を見ていくうちに、やはり自分だけが透明人間扱いされているのだと確信するようになった。

チームの見え方は、立場によって変わる

ただ、この思考はあくまで“自分の目線”にすぎない。

上司の立場から見れば、チームとして成果を出さなければならないプレッシャーがあるし、どんなチームを作っていきたいかというビジョンもあったはずだ。
全員が自走し、それぞれの専門性を発揮していく「プロフェッショナルなチーム」を目指していたのだとしたら、
そのビジョンに対して、当時の自分が十分に応えられていたかと問われれば、正直、胸を張れる状況ではなかったと思う。

裏を返せば、僕は自走しきれていなかった。大きな成果を出せていたわけでもない。
だからこそ、目の前の課題に必死で取り組みながらも、「このチームに自分の居場所があるのか?」という迷いをどこかで抱えていた。

それでも「誰かを透明にしない」チームをつくりたい

それでも、やはり僕は思うのだ。
誰かが「ここにいていいのか」「見えているのか」と不安に思いながら働く環境ではなく、メンバー一人ひとりが「ちゃんと見てもらえている」と感じられるチームをつくりたい。

自分がチームをまとめる立場になるなら、
上手くいかない時期にある人や、自走できずに苦しんでいる人にも、ちゃんと目を向けたい。
「下っ端」や「まだ成果を出せていない人」に対しても、一人のメンバーとして認め、信じてあげられるリーダーでありたい。

人は、見られたときに力を発揮する。
そして、見られていないとき、静かにモチベーションを失っていく。
僕自身がそうだったからこそ、これから出会う誰かには、「見えなくなる」経験をさせたくないと、心から思う。

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Profile

seki

千葉在住のWebエンジニアです。

生活と趣味の備忘録として、

このブログを始めました。

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